仕事で本当は余裕がない。
家族に心配されても、うまく言えない。
助けてほしいのに、その一言が出てこない。
そんな時、気づけば「大丈夫」と言ってしまうことはないでしょうか。
本当は大丈夫ではない。
しんどさはある。
余裕も減っている。
でも、口から先に出るのは「大丈夫」。
それでその場は終わる。
けれど、あとからどっと疲れる。
そんなことがあります。
まず伝えたいのは、本音を言えないこと自体はおかしくないということです。
特に、上司や先輩、同僚、家族、友人のように、関係を壊したくない相手ほど言いにくくなることがあります。
心配をかけたくない。
説明するのが面倒。
ここで本当のことを言うほどでもない気がする。
大丈夫って言った方が早い。
そういう思考は、かなり自然です。
しかも中には、
「大丈夫って言葉にした方が、そのうち本当に大丈夫になるかもしれない」
と考える人もいます。
啓発本や動画の中にも、前向きな言葉を口にすることの大切さが語られることがあります。
それ自体が全部悪いわけではありません。
ただ、しんどさがはっきりある時まで、毎回それで押し切ると、自分の本音が少しずつ置き去りになっていくことがあります。
この時、身体にはかなり分かりやすく反応が出ていることがあります。
喉が詰まる。
呼吸が浅く、少し早くなる。
笑っているつもりでも、どこか空笑いみたいに感じる。
そして、その場が終わったあとにすごく疲れる。
つまり、「大丈夫」と言っている時、頭では何とか収めようとしていても、身体はそう言い切れていないことがあるのです。
だから、ここで大切なのは、
「大丈夫」と言ってしまう自分を責めないことです。
本音を言えないのは弱いからだ、とすぐ決めなくていい。
むしろ今の社会には、頼ることは弱いことだ、迷惑をかけない方が立派だ、一人で何とかする方が大人だ、という空気がかなり強くあります。
だから、助けてほしい時に言葉が止まるのは、個人の性格だけの話ではありません。
そのうえで伝えたいのは、少しだけでいいから、本当の状態を伝える余地はたしかにあるということです。
ここで大事なのは、全部を正直に話そうとしないことです。
全部説明しなくていい。
背景も理由も全部まとめなくていい。
むしろ、短くていい。
たとえば、
・ 今ちょっと余裕がないです
・ 少ししんどいです
・ 今はうまく説明できないです
・ 少しだけ時間をもらえると助かります
・ 今日はちょっときついです
このくらいでも十分です。
「大丈夫」以外の短い言い方を、あらかじめいくつか持っておくと助けになります。
その場でゼロから考えるより、ずっと出しやすくなるからです。
そして、現状だけではなく、気持ちの一部だけを伝えるのも一つです。
・ 少し焦っています
・ 今はしんどいです
・ ちょっと余裕がないです
・ うまく返せる自信がないです
全部話さなくていい。
一部だけでもいい。
本音は、全部出さないと意味がないわけではありません。
少しでも置いていけたら、それは大きいです。
もし言う前に身体が固くなるなら、一呼吸だけ入れてみるのもいいです。
深く整えようとしなくて大丈夫です。
ただ、少し長めに息を吐く。
そのあとで、一言だけ出してみる。
それだけでも変わることがあります。
ここで、もう一つ大事なことがあります。
それは、言えたあとに自分を責めすぎないことです。
少し本音を出したあとで、
重かったかな。
余計なことを言ったかな。
大丈夫って言っておけばよかったかな。
そうやってまた自分を責めたくなることがあります。
でも、少しでも伝えられたなら、それはできたことです。
全部は言えなくてもいい。
一部だけでも言えた。
本音を丸ごと置き去りにしなかった。
そこをちゃんと見ていいです。
もし誰かから「少し助けてほしい」と言われたら、自分はどう思うかも考えてみてください。
たぶん多くの場合、すぐに「弱いな」とは思わないはずです。
むしろ、言ってくれてよかった、と思うこともある。
だったら、自分が少し頼る側に回った時だけ、それを全面的に悪いことにしなくていい。
助けてもらうことも、支えることの一部です。
関係は、片方だけがずっと支え続けることで成り立つわけではありません。
頼ること、少し預けること、しんどいと伝えることも、その関係の一部です。
本当はしんどいのに「大丈夫」と言ってしまう時。
必要なのは、急に全部本音で話せるようになることではないのかもしれません。
まずは、
・ 「大丈夫」以外の短い言い方を用意する
・ 現状や気持ちの一部だけでも伝える
・ 言ったあとに責めすぎない
・ 少しでも伝えられたことを、できたことにする
このくらいからで十分です。
本音を置き去りにしない練習は、毎日少しずつできます。
いきなり大きく変えなくていい。
気づいた時に、一言だけ変えてみる。
それだけでも、かなり違います。
大丈夫と言ってしまっても責めなくていい。
少しでも伝えられたら十分です。
そして、助けてもらうことも、支え合いの一部です。
本音を全部出す必要はないけれど、置き去りにしすぎない余地はあります。
そこからで十分です。
ひとりで抱え込みやすく、少し頼ることさえ難しくなっているなら、
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